自分のためにきれいになる

主に美容備忘録 Twitter@chorinriri

自己満足を認めることで組織は継続するのではないか

一年近く考えが変わらないというのもめずらしいなと思ったので、この考えを記録しておく。

 

ある学生の組織にいたのだが、引退を間近に控えその運営方針にかなり反発するようになった。

その組織ではイベントを企画・運営していて(イベントといっても飲んで友達増やそー!とかインターンいきましょうとかいうイベントではなく、そのイベントを運営すると大学事務が喜ぶようなたぐいのもの)、自分たちの学年が幹部になる年に団体の運営方針が変わった。

簡単に言えば、引退する学年でも希望によって組織に残留できることにするらしい。

しかし幹部はこれまで通りの学年から選出する。

この組織には、幹部と幹部より経験のある平のメンバーが共存することになるようだ。

 

なぜこのような運営方針の転換が図られたかと言えば、同期たちは運営する企画の質を高めることが第一だと思ったからだ。

来場者の満足度を高めること、イベント参加者がよりよいパフォーマンスをできるよう保障すること、技術面のノウハウを確実に伝達すること、こういったことが必要だとみんなは考えたようだ。

そのためには、これまで引退していた人材が引き続き組織に残るのが手っ取り早い。

濃密な引き継ぎを実現しようと試みた時期もあったけれど、その担当の先輩後輩同士の人間関係に左右されるところが大きく、成功するか否かにはむらがでた。

そのような不確実な方法をとるくらいなら、いっそ経験のある人が組織に残り後輩をサポートしながら質を高めてゆけばいいのではないか、とみんなは考えているらしい。

 

わたしはこれに違和感を覚えた。

違和感を覚える心当たりは二つほどある。

一つは、過去の代でも同じことをして失敗していることだ。

過去の資料によれば五年ほど前にも、幹部よりひとつ上の学年のメンバーが若干名組織に残った。

残ったメンバーの気質も原因かもしれないが、その年は幹部とそのひとつ上の学年の間で対立が起こる。

それを見てきた現役たちは、引退学年が残留する制度を廃したようだ。

また似たような失敗を繰り返すのではないかという懸念がここにある。

二つ目は、もうすこし活動を続けたいと思っているメンバーが、言い訳的にこの主張をしているのではないかという点だ。

どのサークル・部活でもそうかもしれないが、大会やイベント目前となると授業や睡眠などそっちのけで練習・準備に没頭するものだ。

自分の代はほかの代よりもトラブルが少なく、比較的大きな学生団体でありながら組織全体としてなんらかの連帯感があった。

仲いいもの同士で熱く没頭できるものがあれば、この上なく居心地の良い場所はない。

みんなはそれを失いたくないから、質を高めるためだだとかなんとかいって組織に残ろうとしているのではないか。

以上の二点を直観的に考えたりはしたが、これでは「イベントをよくするため」という大義名分には敵わない。

 

そこで自分の直観を突き詰めてみる。

突き詰めてみて至った結論は、「残ったら自分たちが楽しくなくなる」というものだ。

そのイベントの運営側であるこの組織の学生たちは、イベント直前になると本当にすべてをイベントの準備に注いでしまう。

学校で夜を明かすというのはざらだが、その稼働時間が尋常ではない。

自分は準備よりも当日のほうがハードな担当だったが、それでも直前二ヶ月はいつ寝たかあまり覚えていない。

しかし、疲労はあってもひたすら楽しかった。

日々が充実していた。

イベントが終わった直後は一週間くらい放心していた。

サポート役の上級生が身近にいるということは、自分でタスクやトラブルを解消しなくてはならないというストレスが和らげられ、自分で・自分たちでやりきったぞという自己満足にも近い達成感を得られないということである。

 

これはなによりも危機ではないのか。

組織外の人間を巻き込んだイベントなのに運営側だけがマスターベーションしてどうするんだというのは最もなのだが、このイベントは少々特殊な立ち位置にあるので必ずしもそのような批判はできない。

民間や行政で行われている各種のイベントには、明確な目的がある。

金を稼ぐため、行政への期待を消化するため、根本の部分でその組織の存在にかかわってくる内容が目的となる。

自分たちが行っていたイベントにはそのものとしての開催理由はないし、他律的な目的をつけようにも苦しいものがある。

おまけに自分のいた組織自体も、大学事務に強制されたわけでもなく学生の自由意志に基づいて結成されている(大学としてもこのイベントを開催しないとなると方々からバッシングの嵐だろうから、学生がやらないとなったら自分たちでなんとかするだろうけれど)

自分たちが行おうとしているもののみならず、自分たちの組織そのものをも規定するのは、自分たちの意志なのである。

 

新たな運営方針の導入によって、組織を存在せしめている学生たちの意志を脅かそうとしている。

現状は思ったよりも危機的なのではなかろうか。

と嘆くが本番まで一ヶ月。

今年も成功するといいな。