自分のためにきれいになる

主に美容備忘録 Twitter@chorinriri

新海誠「言の葉の庭」

「今の心境がユキノに似てると思うよ」と同期に言われ、いままで避けて通ってきた新海誠作品を初めて見た。なぜ新海誠を避けて通ってきたのかは自覚していないが、都会的な感覚と瑞々しい画をあまり好きになれないのだと思う。もう少し閉鎖的で歪んだ自意識と泥臭い視覚のほうが親しみやすいと感じているのか。

 

Amazon primeで見ました、「言の葉の庭」。

高校生・タカオと謎の女性・ユキノが、雨の日に限って公園で逢瀬を重ねる内に、心を通わせていくストーリー。タカオは靴職人を目指していたり家庭が複雑だったりして、今の生活に居づらさを感じている様子が細かに描かれており、タカオという存在が説得的に感じた。ユキノは職場の問題で仕事に行けなくなっていて、その不安と孤独と焦燥感は身につまされるものがあった。

二人とも居場所がなくて、たまたま居合わせる雨の日の公園の休憩所は、居場所がない同士が同じ時間を過ごすという関係性によって紡がれていった"居場所"なんだろうなと思う。誰かが自分をうけいれて居てくれるからこその、居場所なんだろうと。ただこの居場所は永遠ではなくて(特にユキノは職場だけでなく恋人も失う節があるので、居場所が永遠ではないことはよくわかっているだろう)、二人にとっての居場所がどのように失われるのか、そして二人はそれをどう受けいれるのかなあと思いながら観ていた。

 

わたしには居場所がないとずっと思ってきたけれど、居場所を作ろうとしていなかったからそれは当然だよなあと反省してしまった。思い返せばたくさんの居場所があって、居場所を作ってくれたたくさんの人たちが、少しずつわたしの手を引いてくれているのが今なんだよなあ。

というのは頭ではわかっているけれど、ユキノが一歩進めたのは、ユキノがタカオと心の深い部分で通いあったことが大きな理由なんだろうか……? わたしも、強く手を引いてくれる居場所があれば、一歩進めるのだろうか?

 

いい映画だったけれど、自分自身としては消化不良となってしまった。無念。